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厳しい。   投稿者: 大山命   投稿日: 2023/07/31(月) 16:53

女流2段以下の将棋を観てみましょう。たまたま対抗形で振り飛車側が勝った局だったので、取り上げるのですが、それが.....

マイナビの一斉予選から井道vs脇田戦です。
井道千尋女流二段は木村義徳門下、石川出身でかつて鈴木英春に師事し「かまいたち」を得意にしていたそうですが、本譜では飛を振っています。
後手の脇田女流初段。中田章道門下、居飛車党です。一度香奈ちゃんか西やんを下して金星を上げたことが無かったか?!(私の記憶違いかも)
そのようなお二方です。

井道の三間、脇田のエルモ急戦で進みます。途中、居飛車が5筋の歩を交換してきたのですが、私ならここで▲5六金から玉頭金で嫌がらせに行きたいところでした。組み上がった局面では互角。ここから中飛車に転換した振り飛車目線で言えば、腕の見せ所。相手の仕掛けを利用して捌くか、仕掛けを徹底的に封じて玉頭から行くか。

居飛車が▽8六歩から仕掛けました。これを▲同歩と取ったのがどうだったか。5筋位取りでは▲同角はダメとしたものですが、それもケースバイケース。理由は居飛車の陣形が上ずり、エルモとのバランスが悪い。飛切りは相当の覚悟がいるからです。

中央の折衝で、結局角銀交換の駒損ですが、代償がイマイチ。端に味を付けられてから敵飛成ですが、ここで▲4四銀を決めたかったですね。そこからゆっくり敵陣の金銀を剥がしていけば優勢に進められたと思います。本譜では拠点が無くなり、飛もタダで取られ、絶望的な形勢に陥りました。

ところがお付き合いの良いのが居飛車です。見切りが出来ず、守り過ぎの▽2五銀辺りからおかしくなっていきます。数手進んで▽4六角が勘違いの大悪手の大逆転。時間は無かったと思いますが、「それはないだろう!」という感じです。その後の振り飛車の寄せもグダグダしましたが、再逆転はならず先手勝ち。ストレスの溜まる将棋でした。(>_<)

僭越ですが、今の女流はこの程度ということです。アマの四段もあれば快勝するでしょうね。原因は自分の将棋が中心で生活が回っていないことに尽きます。井道さんはお母さんになって休場明け、ブログも書いています。脇田さんも研究中心という感じではどう見てもない。将棋は勉強すればするほど強くなれるのに勿体ないことです。女流全体のレベルを上げていかないと、いつまで経ってもロートル男性棋士にマウント取られますよ。

話戻しますが、香奈ちゃんは何で負けたんだ???
No.240 編集    削除

達人戦に思う   投稿者: 大山命   投稿日: 2023/07/30(日) 11:26

達人戦はかつて富士通の主催で、年配棋士の参加で行われていた棋戦ですが、調べてみると2014年で1回休止していて、今回スポンサーを変えて、50歳以上の棋士を対象に公式戦として再出発した模様。私は女流棋士をここに加えても良かったのではないかと思いましたが。

佐藤前会長の先輩思いが溢れています(笑)。また栄光の羽生世代の将棋をフラッシュバックさせる意味でも有意義ではないかと。私個人は連盟の現役総人口を減らす意味で、却って拙いのではないかと考えるクチですが。

さて、将棋を観てみましょう。南vs畠山鎮戦です。
南九段は「花の五十五年組」(昭和55年度デビュー。その少し上に十七世名人がいます)の一人として知られ、高橋道雄九段、中村修九段、島朗九段が有名です。3名に南九段を加えた4名はタイトルホルダーで、確かに一世を風靡しました。芳一九段は地蔵流の異名があり、デビュー当時は四間飛車を多用し、所作や風貌から「リトル大山」を冠されたこともありました。居飛車党でタイトル獲得は7期でしたが、A級を陥落してからはC2まで早かったですね。最近は三間飛車を多用している印象です。

畠山鎮(まもる)八段は先に紹介したように双生児棋士、弟子に斎藤慎太郎八段、黒田五段がいます。あくまでヘボ個人の印象ですが、発言等を拾っていくと「なんだかなあ」という気がしますが(苦笑)。

将棋は先手南の三間、後手畠山の左美濃→銀冠の対抗形になりました。振り飛車が7筋で1歩交換後、相銀冠になりましたが、中央の位を取られ一度得た歩を▲7五歩と打ち直すなどさえない展開に。ここから普通に捌き合いになれば居飛車優勢となりそうでしたが、居飛車側に指し過ぎがあり歩が切れたことから振り飛車の▲5五角が味が良く形勢逆転です。さらに二枚飛車で攻められますが、▲3八銀引くの妙防等で余し、二枚角の連打で寄せ切りました。僭越ですが、元Aと元B1の差が出た将棋なのかなというのが感想です。

改めて、ですが、達人戦の公式戦化、疑問手ではないですか?
No.239 編集    削除

西やんの功績   投稿者: 大山命   投稿日: 2023/07/29(土) 21:33

今回は相振り&西やん2題です。

何故か、相振りはプロの振り飛車党でも避ける人がいます(現役でも、久保、今泉他)。受け将棋の人が多い印象ですが、その辺りの分析は他の機会に譲りましょう。で、西やんや香奈ちゃんをはじめとする女流の振り飛車党同士では相振りはほぼ必然となります。私自身は一時期居飛車側を試してみたことがありますが、気合負けにつながると思い、4、5年前から自分から避けることは無くなりました。相振りが面白いことが一番の理由です。

さて、1局目は対里見、清麗戦第2局です。先に書いたように一方的に負かされた前局でしたが、今回はどうか?
先手西山が三間、後手里見は中飛車の出だしを匂わせて、結局三間となりました。序盤、先手は矢倉模様(対里見戦、西やんは玉の囲いに苦労することが多いようです)、後手は金無双模様。中央の折衝で後手が誤り、先手の飛の右辺への転回を許してしまいました。相振りは棋勢の均衡を保つのが難しく一方的になりやすい。大山康晴をして「単調になり易く粘れない」という特徴があります。難しいアヤも無く、サクッと寄せてしまいました。これで1勝1敗のタイとなりました。全局相振りの可能性もあり、今後に期待できそうです。

2局目は朝日オープンの1次予選、対谷合戦です。
やはり先手を握った西やんは三間&美濃、後手の谷合君は向&金無双です。谷合君は居飛車を持つか相振りにするか、どちらもありますかね。西やんは作戦勝ちで、攻撃陣が伸び伸びとしました。後手は流れを止められず、先手が鮮やかに寄せ切りました。

特に相振りは経験値がものを言う戦型だと思います。また序盤の動きが繊細で、組み上がった時点で勝敗が見えてしまうことも少なくありません。このような面白い戦型は(そもそも振り飛車を評価できない現在の)AIでは解析不能。女流振り飛車党が新しい道を日々造っているのです!男性棋士ももっと指して頂きたい。
No.238 編集    削除

経験をつめばやれそうかも   投稿者: tsuka000jp   投稿日: 2023/07/29(土) 08:42

>大山命さん
礒谷vs佐々木海戦 見ました。
穴熊の堅さの利を生かして駒を入手しながら縦に攻める感じですね。
6筋の香車が効果的な印象を持ちました。
縦から攻めるのは経験が必要だけど指しこなせる人もすくないから
得意な形の1つになれば有力な戦い方になりますね。
No.237 編集    削除

やれそうです!?   投稿者: 大山命   投稿日: 2023/07/25(火) 09:59

中飛車で潜るとどうなるか?ある程度指せるのではないかとは勝手読みしていましたが(例えば棋王戦第5局:佐藤康vs久保戦)、良いサンプルが見つかったので紹介します。

最近はゴキゲン中飛車が広義に捉えられ、元々あった「5筋位取り中飛車」もその一変化に数えられています。それはともかく礒谷vs佐々木海戦(YAMADAチャレンジ杯)を観てみましょう。まずは泥縄の予備知識です。
礒谷真帆(いそたにまほ)女流初段は所司門下(LISA所属)、居飛車党ですが、振り飛車も指せるようです。
一方の佐々木海法(ささきみのり)女流1級は森信雄門下、三間飛車を多く指されている模様。

後手佐々木のゴキ中、先手礒谷の超速二枚銀で始まりました。居飛車は振り飛車が穴熊に潜ったのを見て、速攻を仕掛けます。動いていない振り飛車の左金がどう評価されるのか気になる所。
不利飛車目線で恐縮ですが、中盤穴熊が袖飛車に回り(ヘボが好きな戦型)、居飛車の玉頭を攻める流れになっているので、そこそこやれるのではないかという判断をしました。もう少し先を観てみましょう。

とは言え、居飛車も辛抱強く受けに回りつつも穴熊の頭を攻め、対抗形特有のゴチャゴチャした戦い?になりました。敵陣の馬を消去できたことで、玉頭周辺の制空権を握った振り飛車が抜け出しました。タイミングよく飛を切り、寄せ切ったという将棋です。左金もピッタリ▽5二に上がって敵銀の侵入を防ぎ仕事をしました。

結論として、押さえ込まれなければ使えそうです。持ち駒の一つとして準備しておきましょう。(^_^)
No.236 編集    削除

かつての御三家   投稿者: 大山命   投稿日: 2023/07/23(日) 21:01

B2の順位戦もこの間2回戦が行われました。
手数が短い順に紹介します。

まず飯島vs久保戦ですが、久保九段の四間飛車に飯島八段が注文を付け、右四間を採用、超急戦に進みました。振り飛車は居飛車の攻撃をガッチリ受け止めて▲2五桂を取り切り、逆襲。受け無しに追い込みました。

次は藤井猛vs杉本昌戦です。杉本八段が変則的なミレニアムに組んだのに対し、てんてーは中飛車から右四間に構えました。しかし左が右に変わっても前捌きの上手さは変わらず、ガジガジ流炸裂で完勝でした。次は八段弟子の坊やをコテンパンに叩きのめして下さい(終盤の寄せが心配ですが)。

最後は鈴木vs大石戦。大石七段は居飛車党ですが、久保九段の著書の手助けをするなど振り飛車にも造詣が深いです。将棋は鈴木九段の四間に対し、居飛車は金無双急戦で対抗しました。ヘボはその昔、急戦は早く終局する将棋だと勘違いしていましたが、そうでもないことは本譜を見ても分かります(苦笑)。居飛車は袖飛車を見せ、一点突破狙いですが、振り飛車の粘り強い受けに攻めあぐみました。一瞬チャンスもあったようですが、受け潰されてしまいました。

今日紹介した3人はかつて振り飛車御三家と呼ばれ、A級に揃い踏みしたこともありました。今回の将棋は全員の持ち味が存分に発揮されています。「あの時の栄光を」などと言うと悲しくなりますが、菅井君以外目立った後継者が見当たらない現在、まだまだ「これぞ振り飛車」とファンを唸らせる職人技を見せて欲しいものです。当然昇級も狙っていって下さいね!(^_^)
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狛犬の自己撞着   投稿者: 大山命   投稿日: 2023/07/23(日) 14:06

最近、松本氏の原稿を見なくなった代わりに遠山六段の文章を目にする機会が増えたような気がします。

「藤井聡太七冠の高い壁、立ち向かう挑戦者の苦闘」という原稿が上がっていました。こういう事態になったのは狛犬宣言(=坊やの軍門に下る)したプロ棋士全員の責任ではないですか?思い返せば、余計な「炎の七番勝負」で調子づかせましたよね。

私は菅井君をはじめ振り飛車党の棋士を引き続き応援します。坊やの将棋に向かう姿勢(振り飛車の全否定)、彼の指す将棋が大嫌いだからです(取り巻きはもっと頭に来ますが)。少なくとも向こう十年、アンチは臥薪嘗胆ということでしょうか。(>_<)
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菅井劇場?!   投稿者: 大山命   投稿日: 2023/07/21(金) 11:05

順位戦、中村太地vs菅井戦より。

菅井君と太地君が2回戦でぶつかるとは知りませんでしたが、これまで私の書いてきたことに信憑性があるのか否か、試される将棋となりました(苦笑)。

(その方向性には議論の余地があるものの)お二人は将棋界のために、それぞれの方法で頑張っています。私は「棋士は、まずは自分の勝負に勝てるように努力するべき」と考えているので、二人の姿勢を評価したいと思う半面、「勿体ない、残念」とも感じるのです。

将棋は予想通り相穴熊になりましたが、序盤から後手の菅井君が注文を付けます。まず4手目の▽3二飛。角交換から▲4五や6五の角打ちを狙われたらどうするのでしょうか。無論、先の古森君のように十分な対策があるのでしょうけれど、ヘボはいきなり緊張が走りました。以降も振り飛車側が角道を開けたままで進み、止まったのが18手目の▽4四歩でした。
その後も振り飛車は積極的に主導権を握りにいきます。56手目▽9四歩の地獄突きとは!ここから飛交換があり、更に端に飛を打ち合う派手な応酬を経て、居飛車が冷静に局面を治めに行く指し回しに抗い、ジリジリと振り飛車がペースを掴んでいきます。

途中から一貫してソフトは振り飛車の指し手を評価しておらず、漸く人間(ヘボ)の感覚と形勢判断が一致したのは終局直前のことでした(つまり居飛車の側に最後の最後で落手があったということになります)。

一局を振り返ってみると、最近の菅井君は、特に相穴熊戦はこのような展開を目指しているように思われます。素人考えでは「そんなに無理をしなくても(菅井君であれば)別の勝ち筋を見つけられるのに」と考えますが、棋風なんですかね。ヘボはかつての王位戦で魅せたような指し回しを期待するものですが。こういう面は「升田だなあ」ですが、違う点は自分の構想が上手くいかないとさっさと負けてしまうのが升田幸三ですが、菅井竜也は粘りまくりひっくり返してしまう所でしょうか。

近いうちに再び坊やに挑戦し、今度は完璧に潰してしまう将棋を期待しています。一方の太地君、番組を作るのだけでも止めた方がいいですよ。まずは二人とも自分の将棋を第一に考えて、結果を出して頂きたい。
No.233 編集    削除

YouTuber棋士の方々へ   投稿者: 大山命   投稿日: 2023/07/19(水) 09:46

度々書いているように、私はトーナメント棋士として戦う立場の人がYouTuberをやることには反対です。アマ愛好者にとって有害ですらあります。やりたいのなら引退してからにして欲しい。それで本職がおろそかになり勝てないのであれば、本末転倒ではないですか?

百歩譲って黙認するにしても(その人の生き方ということで)、内容も棋書で紹介できるようなことではなく(出版した時点で内容が古くなっていることも少なくない)、それこそリアルタイムで里見流を解説して頂けないですかね。里見流は「流れ金無双」だけではありません。相振りであれば、「三間飛車速攻棒銀」、対抗形であれば「▲5六飛浮き」等、実戦的な興味深い指し方が少なくありません。あ、勿論ご本人の許可を取ってからお願いします。(^_^)
No.232 編集    削除

レスレス♪   投稿者: tsuka000jp   投稿日: 2023/07/19(水) 06:00

里見vs西山戦見ました。
里見流の陣形は自分で考えたんですかね。面白いですね。
玉の左上が空くのが怖いけどこれで指し慣れているんですね。
向かい飛車+美濃囲いと里見流の対局がどうなるのかを見てみたいですね。

西やんのほうはこの1局だけを見ただけだけど、まだ対策の決め手が出来上がっていないようにみえました。
No.231 編集    削除

二強対決   投稿者: 大山命   投稿日: 2023/07/17(月) 20:42

白玲戦第1局を観てみましょう。里見vs西山戦です。
角交換相振り飛車は、角換わり将棋の中でも定跡が牽かれていない分野で、ヘボはどう指したら良いのか解らない(苦笑)。「(交換後の)角の打ち直し▲6六角(▽4四角)が良い手になることが多い」ことをてんてーの「相振り飛車を指しこなす本」で覚えたくらいで(あと、石本女流二段が将棋世界の付録で解説を出していましたね)。いずれにしても私にとっては難しい将棋です。

序盤は先手里見の中飛車に後手西山が注文を付け、相向かい飛車に進みました。香奈ちゃんは西やんに比べ指し慣れており、▲6八金&▲5八金の所謂里見流を完成させます(普通の金無双から一路金が離れた形で、角の打ち込みが少なくなっています)。対する西やんは中住まい+▽7三銀&▽7二金の構えを作りました。

組みあがった所で互いの陣形を比べると、あくまでヘボの目ですが、「まとまり」という点で香奈ちゃんが圧倒しています。西やんは先攻を目指すのですが、玉が戦場に近いので思い切ったパンチが繰り出せません。結局、恐る恐る出した手を引っ張り込まれ、逆に駒の裏を取られてしまいました。あとは先手の素早い寄せを見るばかり。西やんにとっては不本意な流れとなりました。

癪かもしれませんが、一度香奈ちゃん相手に里見流を指してみたらどうかと思いますね。自分でやってみて色々なことが解るのでは。もしくはその気があるのなら、居飛穴をやってみては如何でしょう。堅い陣形から攻めまくる流れは西やんが最も得意とするところでは?残念ながら、特に相振りに限定すれば香奈ちゃんの方が一枚上ですね。(>_<)
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レスレス♪   投稿者: tsuka000jp   投稿日: 2023/07/16(日) 12:12

>執行部に一般人を入れて欲しい。
新聞業界のスポンサー頼みだと将来的に厳しくなるかもしれないので
お金が集まるように考えてくれる経営のプロの方が入ってくれるのはいいかもしれないですね。

負けた将棋の棋譜並べは、実は私も苦手です。1日中ひきずるので。笑
悪くなった部分の変化を検討することを続ければ改善されるのは頭ではわかっているけど
趣味がストレスの源になちゃいますね。笑

古森vs畠山成戦見ました。
両取りで桂馬を跳ねさせて桂頭を攻めるのが一連の狙いとなっていましたね。
No.229 編集    削除

オールラウンダー   投稿者: 大山命   投稿日: 2023/07/15(土) 09:31

歴史を振り返って居飛車も振り飛車も指す棋士を思い浮かべると、第一は「自在流」内藤国雄(國雄?)でしょうか。内藤九段は基本居飛車党であったと思いますが、飛を振っても人並み(勿論、プロ棋士の中で、ということです)以上の才能を示しました。ただ、矢倉だけは指さなかったというのが面白い。

内藤九段が頭角を現わした昭和中期は、実は今よりも将棋が自由であったように思います。純粋居飛車党と評される人も裏芸として結構大事な対局で飛を振る。AI大明神がおいでにならない時代なので、自分の感覚を頼りに将棋を指していました。その中に振り飛車という選択肢もあった訳です。例えば、居飛車党の原田泰夫九段がB1に降級後、振り飛車を多用してA級に復帰したこともありました。

前振りが長くなりましたが、何でも指せる人は珍しくなりましたね。その珍しい人の中の一人に先崎九段が挙げられると思います。NHK杯を制した対局は中飛車を採用していました。病気療養で現在はリハビリしながらの運転ですが、今回順位戦で三間飛車を用いました(対阿部健治郎七段戦)。

先手阿部が左美濃から銀冠金無双?に組み、後手先崎が石田流に構えます。開戦は3筋から、揉み合いの中、居飛車が竜を、振り飛車が馬を作る展開になりました。捌き合いになると玉が戦場から近い方が不利になります。本譜、居飛車は右金が▲4七に上がっていたので尚更です。振り飛車は速度計算に勝ち、結果もものにしました。総手数72手の捻じり合い無き終盤戦でした。

先崎九段は将棋も器用です。どんな戦型でも勘所を押さえているというか。本譜も特に派手な手を指さないままに、気が付いたら良くなっている感じです。メンタルの問題はあったでしょうが、一方で(将棋以外に)筆が立ったりする器用貧乏が、ファンは残念なのでは?
No.228 編集    削除

超急戦   投稿者: 大山命   投稿日: 2023/07/12(水) 15:28

順位戦の古森vs畠山成戦を取り上げます。
畠山成幸八段は鎮八段のお兄さん(だったかな?)ですが、振り飛車も良く指していました。双子ですが、多分二卵性なので余り似ていないように感じます。将棋には関係ないことですが、ご両親が違う人間として生きて欲しいということで、敢えて似たような名前を付けなかったと何かで読んだ記憶があります。でもお二人とも棋士になってしまったんですねえ。

さて、振り飛車年鑑2022年度版で、久保九段は「西田&古森はよく勉強している」と仰いました。その古森君の研究が嵌ったようです。序盤、端歩を突き合う模様見の直後、▽4二玉を見て先手古森は早石田を敢行、居飛車は早速それを咎めに角交換後▽4五角を放ちます。開始早々に馬作って歩得ですから、大損と思いきや、振り飛車は▲5八玉と立って中央を受け、7筋を突き捨ててから▲5五角と切り返しました。これは▽3三桂と跳ばせて、その頭を攻める作戦です。更に振り飛車は飛を▲7四→3四のルートで捌き、馬との交換に成功。気が付くと居飛車は残す余地が無くなっていました。仕方なく8筋を突いていきますが、やっとの思いで▽8七歩成を決めた所で、飛頭を叩かれた▲8三歩が激痛でした。結果、51手の短手数で終局。
どこかで見たことあるなと思って、蔵書を引っ張り出したところ、「島ノート」にそっくりそのまま変化が載っていました!古森君が同書を読んでいたか否かは定かでないですが、研究が行き届いていたということですね。
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穴熊研究   投稿者: 大山命   投稿日: 2023/07/11(火) 16:06

穴熊党入党(笑)ということで振り穴戦の棋譜を中心に並べています。勿論、実戦も大事ですが、親父がギックリ腰をやってしまい、道場行きを1回流しました(苦笑)。

さて、お題は加藤圭vs渡部愛(順位戦)です。
女流も順位戦ができて、レベルアップしたような気がします。相変わらず強い人は強いですが、なかには力が峠を越していて不本意な位置にいる人もいます。それでもタイトル戦における聞き手を「お仕事」と勘違いしている人が淘汰されるようになって、間違いなく良い方向(女流全員が自分の将棋を大事にする)に向かっているように思えてなりません。

将棋は先手加藤の三間穴熊、後手渡部の変則玉頭位取りになりました。序盤圭さんが▲5六→4五と玉頭銀を見せます。これに対し注文に乗るのはイヤということで、渡部さんは▽2四歩を突いて天守閣美濃に。振り飛車がポイントを稼ぎました。
長い駒組の中で、振り飛車は四角い四枚穴熊に囲い(でも欲を言えば居飛車から▽4五歩と突かせたかった)、あとは攻めるだけ。居飛車が銀冠に囲い直そうとしたタイミングで仕掛けました。ただ、69手目の▲5七飛はどうだったのかな。桂の褌に自分から掛かりに行く形だったので。その後、角を見切ってのと金製造が好判断。一気に形勢は振り飛車側に傾きました。
終盤は、居飛車が最後のお願いとばかりに端に突撃しますが、冷静に対処。ところが最後の着地の場面で寄せを誤り(所謂「すっぽ抜けた状態)、大逆転しますが、恐らく両者秒読みだったのでしょう。程なく再逆転し、振り飛車の勝ちとなりました。別に格好良く決める必要はないんですよね。私も気を付けます。勉強になった将棋でした。(⁻_⁻)
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持ち時間が短い将棋   投稿者: 大山命   投稿日: 2023/07/10(月) 20:54

NHK杯で藤森五段が山崎八段に勝利しました。天晴。短い持ち時間は思わぬ大逆転も起こり易いので、格下の棋士を応援する際も力が入ります。今回の藤森五段は優勢な将棋を勝ち切ったということですから、フロックでも何でもない。むしろ、プロの力は紙一重ということを再認識しました。

てっちゃんはYouTuberで、私も何度か番組を拝見させて頂いています。それで視聴者に日頃の感謝を込めて1時間を超える特番を上げていました。微笑ましいと言えばそうなのですが、少し悲しくもなりましたね。以前も書きましたが、彼は何を将棋に求めているのでしょう?
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北村九段、ご冥福をお祈り申し上げます。   投稿者: 大山命   投稿日: 2023/07/10(月) 20:36

十年前私が住んでいた函館のご出身でした(因みに函館市内は当時3つの将棋道場があり、二上達也や佐藤大五郎と有名処の出身地でもあります)。思い返すと、私が手にした最初の棋書が九段が七段時代に書かれた入門書(大山康晴監修)で、薄情にもそれ以来九段のお名前は正直忘却の彼方でした。

再び九段のお名前を拝見したのは「大山康晴の晩節」(by河口俊彦)でした。「夭折した天才棋士、山田道美」の章において、芹澤博文とともに「山田とともに強いが、世渡り上手」な奨励会員として描かれていました。スポットは芹澤に当てられていたので、北村昌男が本当に山田と敵対していたのか、判然としませんでしたが、結局九段はA級に上がることなく引退しました。居飛車党であったこともあり、残念ながら私にとっても興味や応援の対象とはなりませんでした。

詳しくは、「晩節」を読んで頂くとして、私が感じたことは、結局「良い意味で鈍感である人」「四六時中将棋のことを考えられる集中力を持つ人」が天下を取るのだなあ、ということです。坊やを見ていれば分かりますよね。九段は芹澤九段とともに生きるのに器用な人であったようです。私にとってはご高著に接する機会があったことで今も将棋を続けているとも言えます。お世話になりました。
No.224 編集    削除

今井絢補足   投稿者: 大山命   投稿日: 2023/07/10(月) 14:18

私の勉強法は実戦以外は棋譜並べですが、その棋譜はYouTube他に上がっている将棋を手書きで(キーボードを叩いて)写しています。材料としては他にも買った棋書の将棋もありますが、最近のプロ将棋をレビューするのには最適です。あと、基本振り飛車が勝った将棋しか並べません。負けた将棋はストレスになるからです。勝った将棋だけでも並べるのは相当な労力と時間(1局30分前後)を使います。

さて、その手書きの棋譜ノートを見返していたら、今井絢、渡部愛を蹴散らしているではありませんか(倉敷藤花)。三間+ダイヤモンド美濃に組み、松尾流穴熊を完封した将棋です。表現すれば「(双方が)一手指す毎に差が広がっていく将棋」でした。今井さんは(相手に何もさせない!)丁寧な将棋を指されるようです。西やんが苦戦したのにも頷けます!恐ろしいオールラウンダー(対抗形マニア?)が登場しました。里見香奈戦が楽しみです。(^_^)
No.223 編集    削除

加藤超えか?!   投稿者: 大山命   投稿日: 2023/07/09(日) 09:52

西やんの将棋を取り上げましょう。今井vs西山(女流王座戦)です。
対戦相手の今井さんは坊やを兄弟子に持つ元奨励会員(1級で退会)、同志社大在学中ということです。女流入りしたのは今年のことで、恐らく西やんの手元にもデータは殆ど無かったのでは?しかし、それを差し引いても今井さんの大健闘が光る対局でした。

序盤は西やんの後手三間、今井さんの居飛穴に進みました。西やんは石田&楠本流に組んだので、いつものようにバリバリ攻めていくのかと思いきや(居飛穴の角道も止まっていたし)、本譜の西やんは自重して銀冠から穴熊に潜りました。そうこうしているうちに、居飛穴はいつの間にかビッグ4に組み換えられ、仕掛けのタイミングを失いました。逆に自陣の銀冠穴熊完成を目指した隙に先攻され、形勢不利に陥りました。

苦戦は続きましたが、相穴熊戦特有の「切った貼った」をやり合う中、居飛車の竜が自陣に戻った辺り(120手目くらい)から流れが変わり、漸く西やんのパンチが急所に炸裂するようになります。いつ頃から一分将棋になったのか定かではありませんでしたが、最後は西やんの経験値が優り、即詰めに仕留めたという将棋でした。

西やんの判断ミスもありましたが、今井さん、強いですね。相穴熊戦に限れば、桃ちゃんの力を上回るのではないかと感じました。一方、西やんは穴熊戦の不慣れが感じられ、ヘボは「以て他山の石」にしたいです。(>_<)
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迷信   投稿者: 大山命   投稿日: 2023/07/06(木) 09:12

そもそも振り飛車は将棋連盟が「将棋大成会」と称していた頃から今日に至るまで、プロ棋界においてはずっと傍流であることを強いられてきました(江戸時代はそうではなかったようですが、調査に時間がかかりそうなのでご勘弁)。
原因は良く解りません。ただ、プロ間では「相掛かりこそ将棋の本道」というような迷信があって、清水女流七段の師匠、高柳敏夫名誉九段のように弟子に「振り飛車は指すな」と言い渡していたという。ご本人は居飛車党ではあったものの結構癖のある棋風であったようなので、その辺の事情には興味が持たれますが。個人的には田中寅彦や中原誠が振り穴の名手になるチャンスの芽が摘み取られたことを残念に思います。(>_<)

なぜ、プロは振り飛車党が少ないのでしょうか。私は「大山全集」の第3版を購入した際の特典で、てんてーと香奈ちゃんに対面で質問することが叶いましたが、上手くかわされてしまいました。てんてー曰く「プロになる人は戦法に拘りはないですよ」と(香奈ちゃんは言葉に詰まっていた)。全然私の欲する回答になっていない。(>_<) 尊敬するお二人の将棋を知るにつれ、現在のヘボの解釈としては「それは伝統だ」。

大内九段の著作でも手元にあれば、もう少し深い解釈ができるかもしれませんが。もう一つ考えられることは振り飛車が指せない人も少なくないこともあるようです。レベルにもよりますが、少なくともアマトップまでは半数近くが振り飛車党です。ヘボは好きなので指していますが、ある人にとっては「(自分にとって)指しにくい戦法であり、敢えて取り組むのはメリットが少なすぎる」ということなのかもしれません。半数以上の指さない人にとってはクセのある戦法であるのが振り飛車のようです。

そうすると振り飛車が指されにくい理由を「つまらない迷信の類」で片付けるのは些か早計のようです。ある戦法における個人の向き・不向きの原因を考えてみるのも面白そうですが。石川泰氏に番組を上げて頂きますか。
No.221 編集    削除

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