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休場中   投稿者: 大山命   投稿日: 2024/07/27(土) 06:43

某所で昆虫の写真を撮る毎日で、そのデータ整理と合わせて棋譜を並べる時間が無く、殆ど将棋の勉強ができていません。^^;
もう一つ、振り飛車党棋士の結果が今ひとつ冴えないので、投稿する気持ちになれませんでした。
もう暫くこの状態は続きそうですので、ご安心(?)の程を。
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資格はゲット!   投稿者: 大山命   投稿日: 2024/07/04(木) 13:00

西やんが阿部光瑠七段に勝って、編入試験の資格を得ました。対プロ棋士に対し、直近の成績13勝7敗、大したものです。上手く自分の土俵に引きずり込めば十分チャンスはあります!アホな男共(プロ棋士にも居る?)を黙らせて下さい。 (^_^)
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その6   投稿者: 大山命   投稿日: 2024/07/02(火) 20:12

もう1球変化球を。1975年の佐藤大五郎vs大内戦(棋聖戦)です。

佐藤大五郎九段は現在の佐藤姓棋士の誰とも血縁関係はありません。函館出身でA級を張り、王位戦に挑戦しています。「薪割り大五郎」の異名で、何でも指しましたが、まあ振り飛車党でしょう(「無敵四間飛車」の著作があります)。少し俗人というか、タニマチが居て、高価な服や腕時計を身に付け対局時に見せびらかすようなところがありました。そのせいかどうか、他の棋士の不興を買い、いじめに近いことをされていた。そんなことが河口俊彦八段著「大山康晴の晩節」に書かれていました。

将棋は先手佐藤の向飛車・金無双模様、後手大内の三間(石田流)穴熊!で序盤が進みました。相振りを厭わない振り飛車党でも「穴熊はちょっと...」という人もいることでしょう。しかし穴熊党総裁は違います。ヘボも「振り穴党」を目指していますので、折を見て試してみました。結論として、ヘボの技術が足りないこともありますが、格上には足りず、格下には割合簡単に勝てます。特に矢倉等を目指し穴熊を侮っている人は「こんなはずでは」と顔色が変わります。皆さんも指してみては。

そもそも相振り戦は先攻できるか否かがポイントの一つ。同格以下で受けが強靱な人にはなかなかお目に掛かりません。佐藤九段はどうか。本局以外の将棋も何局か並べたことがありましたが、序盤は不利でも中盤以降に勝負手を連発して力でひっくり返すパタンが多いようです。これは対抗形には有効な棋風ですが、相振り戦では好ましくありません。序盤の組み立てが物を言うからです。本譜も後手の先攻を許し、穴熊の深さが生きる展開になってしまいました。タダでさえ金無双は狭い上にペラペラな囲いですから、玉頭に味付けをされただけでガタガタです。攻め合いに持ち込もうにも、駒を渡すと反動がキツい。それでも先手は手を尽くして玉頭から襲いかかりましたが、受けも強い大内穴熊に攻めをいなされました。金無双は速攻の囲いですから、穴熊に早く手を付ける工夫が必要だったように感じました。何度も並べて、特に攻守のタイミングを勉強しようと思います。
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振り穴研究 その5   投稿者: 大山命   投稿日: 2024/06/29(土) 06:05

今回は昭和の将棋を観ていきましょう。1969年の王位戦予選、大内延介vs松田茂行戦です。

大内九段はご存じの方も多いと思います。「穴熊党総裁」の異名を取り、名人戦でも振り穴を駆使し、当時の中原名人をあと一歩まで追い詰めたシリーズは語り草です。それで本来であれば教科書に出てくるような大内穴熊の快勝譜を紹介するべきなのでしょうが、本譜は違います。その穴熊党総裁が振り穴に負かされてしまう内容に、ヘボは面白いと思いました。
松田九段は売り出し中の頃、「鳥取のダイヤモンド」と称され、当時の大山康晴と双璧でした。何かの棋戦で二人が当たり、松田の勝利。タニマチのような人が「私は負けるのが嫌いだから、勝った松田君にご馳走する」とか何とか言って、松田と一緒に対局室から出て行き、残された大山が悔し涙に暮れた、そういうこともあったそうです。松田九段はセンスは抜群でしたが、将棋一筋になりきれず、結局大山の後塵を拝すことになったと歴史の本には書かれています。おじさんの好きそうな話。(>_<)

では漸く将棋。
大内・松田ともオールラウンダーでした。そこで駆け引きの末に先手大内の左銀急戦、後手松田の四間穴熊になりました。実は大内九段、本局の2年前に王位戦で大山名人に挑戦し、敗退しているのですが、まだ振り穴は使っていなかったようです。それで居飛車急戦だったのかもしれませんが(因みに相振りもよく指されており、穴熊でもよく勝っていました)。そもそも居飛穴という発想も棋界全体には無く、「振り飛車には急戦」が支配的でした。その中で升田幸三が名人戦で居飛穴を指したのが1968年のことです。いや凄いですね。おっと、また脱線してしまいました。(>_<)

とにかく休戦、違った、急戦です。
振り穴はどうにか▽9一玉まで潜ったものの、▽8二のハッチは閉めておらず大丈夫なのでしょうか?対する居飛車は▲5五歩で角道を止めたのが工夫の一手。今では定跡ですが、飛は勿論、振り飛車に角を捌かれると悪くなるという感覚があったのだと思います。しかし備えも空しく、派手な駒の取り合いから結局は居飛車が飛(いや、竜2枚になりました)2枚、振り穴が角2枚を持ち、目論見は頓挫することになりました。

中盤(かな?)、駒の損得はありませんが、ヘボは断然振り穴側を持ちたいですね。船囲いの残った居飛車陣に大きな傷がある訳ではないのですが、振り穴の玉が「遠い」。竜2匹いるのですが、自陣では威力が半減、「竜は自陣に」ではしっくりきませんね。(>_<) ここからの振り穴の指し回しが上手く、自陣の外壁を破られる間に「駒の裏を取る」攻め、マムシのと金の活躍です。76手目の▽6九銀のタダ捨てで玉を下段に落とし、82手目の▽2六角で挟撃体勢、全ての駒が目一杯働きました。相手の大内は後の「怒濤流」ですが、怒濤の寄せとはこのような展開を言うのでしょう。攻め始めてからは一度もターンを渡さない完勝でした。

ヘボは本譜のような将棋が大内穴熊戦法誕生のきっかけになったのだと思いました。ある戦法で負かされて「よし、次はこいつを攻略する」と考えるか、「これは俺が使えるのでは」と感じるのか、どちらも正しいですが、大内延介は後者だったのではというのが今回の結論です。因みに松田九段が大内得意の「ツノ銀中飛車」の創始者であったことも付け加えておきます。(^_^)
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やっぱりテンテーでしょ!   投稿者: 大山命   投稿日: 2024/06/28(金) 11:39

順位戦を観ましょう。佐々木慎vs藤井猛戦です。

佐々木七段は個人的に将棋を教わっているので(二度指導対局、2敗)応援したい気持ちは山々ですが、本局の主役はテンテーです。何というか、「美しい振り飛車」という点では右に出る人がいませんね。基本に忠実だからこそ教科書のような収束になるのでしょう。

先手佐々木は初手▲2六歩。ヘボは譲り合いの精神が無いので理解できませんが(苦笑)。三手目▲7六歩に対して▽4二飛。ここから角交換になりましたが、駆け引きでお互い角を自陣に打ち合い、振り飛車は穴熊に潜ります。これを見た居飛車も銀冠から穴熊に組み替えました。長い将棋になりそうな予感でしたが、振り飛車が▽5五歩と位を取り敵角の動きを牽制した手が結果的に大きかったように思いました。

ここからの振り飛車の指し回しが秀逸。居飛車の右桂の活用が遅れているのを見て、中飛車に振り直し中央から動きました。特にその機動性を存分に見せつけた角の動きが絶品で、「相手に触れずに追い詰めていく」という感じでしょうか。気が付くと敵陣深く攻め駒が入り込み、受けが利かない状態になっていました。勿論、快勝です。名局と言うよりはむしろ「名曲」を鑑賞しているような気分です。(^_^) 皆さんも是非盤に並べて頂きたい!
No.466 編集    削除

レスレス♪   投稿者: tsuka000jp   投稿日: 2024/06/28(金) 06:25

次は藤井7冠なんですね。
木村さんといい、対戦相手が編入試験より難しい気がする。。。
次も勝ったらすごいですね。
編入試験が見えてきて将棋を見る楽しみが増えた感じですね。
No.465 編集    削除

はい、良い将棋でした。(^_^)   投稿者: 大山命   投稿日: 2024/06/27(木) 10:06

ルーターの調子がおかしくなり、ネットが見られずメールも出せない状態が続いていました。昨日漸く某電器店のお助けマンにより不具合が解消されました。

西やんは次の将棋を勝つようなことがあれば、女流棋士(福間&西山のことですが)に難癖を付ける連中は居なくなると思いますが。何しろ相手は一つ失ったとは言え、七冠ですからね。ああ、だからこそ勝って欲しい!

話は少し変わります。最近振り飛車を指す「居飛車党」男性棋士が増えてきたように感じますが、気のせいかな?天彦九段は言うに及ばず、豊島、稲葉、澤田といった面々。背景について色々邪推出来そうですが、またの機会に。(>_<)
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レスレス♪   投稿者: tsuka000jp   投稿日: 2024/06/27(木) 07:32

>大山命さん
西やん金星をあげましたね。リアルタイムで見たかった。(><)
順位戦でやっていけるかは分からないですね。
年齢が若いほうが有利というのもあると思うので早く編入に受かってほしいですね。
編入したら女流の棋戦は不参加になるんですかね。対局数が減れば自分の研鑽の時間が増えるので勝率も上がるかもと個人的に思っています。
今の思い切りのよい棋風はそのままで編入した後も活躍してほしいと思っています。
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試験間近か?   投稿者: 大山命   投稿日: 2024/06/26(水) 17:54

ということでNHK杯戦を。勿論西山vs木村一基戦です。

西やんは普通に男性棋士に勝っています。対局数は少ないですが、香奈ちゃんより勝率は上かもしれません。しかし、順位戦でやっていけるかというと、正直難しいかもしれません。花村元司を除き、編入試験でプロ入りした棋士はC2を抜けられていないからです。また、かつて、無敵を誇った清水さんや中井さんも今は勝率5割くらいでしょうか。そもそも普通に奨励会を抜けて将来を嘱望されている棋士でも長年留め置かれている人も少なくない訳ですから、これ以上は何とも言えませんけどね。

将棋は先手西山が初手▲7八飛から美濃囲い、後手木村の左美濃で始まりました。但し、西やんは石田流ではなく、▲7六銀の形です。ここから受け師は攻撃の糸口を作るのが難しいとみるや、▽1二香から変則的な穴熊に潜りました。この形は金銀が逆の位置(▽2二金・▽3二銀)ですので、見た目以上にペラペラです。西やんが正しく指せば「いける!」と確信しました。一方の木村九段と言えば、かつては「四間飛車破り、急戦の極意」が代名詞でしたから、随分変わったものです。ヒフミンのように意地になりすぎるのもどうかと思いますが、折角のテレビ将棋なので急戦に拘って貰いたかったとは外野の独り言。

西やんは▲9七桂と跳び、▽8五の歩をかすめ取りました。居飛車はなおもペラ穴に手を入れて銀冠穴熊に組み替えました。ここまでくれば憂い無く戦えるので、振り飛車はもっと早い段階で仕掛けられるような駒組を考えて欲しかった。いや、解説はテンテーで「早く▲6七に銀を引いて欲しい」と強調していましたね(結局引いたのですが)。中盤に入り、中央の折衝は居飛車が上手く立ち回り先手の馬を消しながら自角を捌くことに成功しポイントを上げました。桂馬の褌から▲4七金を削ったことも大きい。居飛車の穴熊がそっくり残っているのに対し、高美濃は見る影もなくなりました。

西やんは良くも悪くも思い切りの良い将棋でしたが、最近はジッと辛抱することも多くなりました。本譜も辛抱が実った流れとなりました。121手目の▲5五角打ち辺りから形勢は逆転、振り飛車の囲いが薄いうちに木村九段は金を手持ちに攻めを考えなければいけなかったように思いました。西やん、よく踏ん張って勝ちを引き寄せた将棋でした。

局後のネット民のコメントには「女に負けるのが恥」と考える人も少なくなく、悔し紛れに「編入試験は女流に有利な制度」と大いなる事実誤認。実際には全く逆ですね。ここでも再三指摘してきましたが、香奈ちゃんはタイトル戦を戦いながら試験に臨んだのですよ。(>_<) 西やんに棋士になって欲しいのは山々ですが、不安も多いのがヘボの偽らざる本心です。 (-_-)
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その4 瀬戸は日暮れて   投稿者: 大山命   投稿日: 2024/06/10(月) 10:14

今回は一旦神吉七段をお休みして、瀬戸博晴七段の将棋を観ていきます。
全然将棋に無関係なので恐縮ですが、ヘボが小学校低学年の頃に「瀬戸の花嫁」という歌が大ヒットしました。瀬戸内海の島に嫁入りする女性を歌ったものですが、食べ物尽くしの替え歌も巷で流行りました。

さて、瀬戸七段の振り穴についてです。七段は1979年にプロ入り、2000年に引退した棋士ですが、穴熊に特化した将棋で、私より古い年代の穴熊党の記憶に残っているようです。今回、強い振り穴党を目指すに当たり、スペシャリストの棋譜を集めており、避けては通れません。実際、「穴熊(振り穴)名局集」でも数局取り上げられています。師匠は二上達也、羽生会長の兄弟子であることも付け加えておきましょう。

ここでは1981年の順位戦、瀬戸vs神谷戦を紹介しましょう。
神谷八段はハ冠のデビュー前に連勝記録を持っていた方です。オールラウンダーとの評ですが、ヘボは居飛車党の色が強いように思います。浜松出身で廣津久雄(福岡出身だが長年静岡在住で大山名人と同世代)門下です。因みに廣津九段の弟子は全員静岡県出身。

瀬戸穴熊は居飛車でも振り飛車でも観られますが、ヘボの都合で振り穴にしました。当時から瀬戸の穴熊は棋士に知れ渡っており、序盤居飛車は端を早々に突き越しました。そうなると銀冠で懐深く戦おうということになるでしょう。振り飛車はひたすら穴を掘り、潜る。当時は▲3九金までは必然でしょう。後の時代には広瀬九段の工夫で▲4八・4九に金が縦に並んだ形で開戦していく型も出現しましたが、多くは相振りを除きこの形になると思います。本譜は左金が▲5九~4九と移動していき、これは居飛穴に比較的に良く観られる動きです。

居飛車の銀冠ですが、振り穴目線で評すると、同等の棋力であれば、経験上玉頭周辺に食いつければ振り穴、十分に組まれると居飛車が勝つ確率が高いです。そこで?実戦では向飛車に振り直し、8筋から動いていきました。8筋を突破し、敵飛を▽3一に隠居させポイントを挙げます。対して居飛車は馬を作り、取り残された飛をいじめにいきました。さらに好所の敵生角を追うのですが、ここからの振り穴側の対処が上手で、思い切り敵馬を引きつけておいて▲4二角成(角切り)です。

長い長い終盤戦は振り穴の攻め、居飛車の凌ぎの対決となりました。棋譜並べの感想ですが、ずっと振り穴の優勢でしたが、居飛車側の玉の生命力、手段を尽くした玉の逃走劇は「順位戦」という場で展開されたドラマでありました。皆さんも是非盤に並べてご鑑賞下さい。 (^_^)
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その3   投稿者: 大山命   投稿日: 2024/06/07(金) 16:29

神吉七段の第3弾にもなりますが、得意の短時間棋戦、NHK杯本戦を観ていきましょう。1995年、対中田宏樹戦です。

故中田宏樹九段は王位戦にも登場し、当時の谷川王位を苦しめました。居飛車党本格派で、A級に上がれなかったことが信じられません。残念なことに昨年2月に急逝されました。通算770勝でした。

そのような背景で、棋士としての中田九段の脂の乗りきった時期の対局です。
序盤は先手中田が左美濃を経て銀冠にガッチリ組み、対する後手神吉は例によって一目散に穴熊に潜りました。銀冠は無風状態で組み合うと懐深く、居飛穴以上に手も足も出なくなります。これを避けるために3~5筋(後手番であれば5~7筋)に争点を作っておく必要があります。それが位であればベストです。本譜は意図的に6筋の歩を交換させ、▽4四銀型を目指しました。(振り穴から見て)まずまずの形になりました。

序盤の終わりに振り穴が▽6五金と立ったのが工夫の一手。穴熊は「相手にして貰ってなんぼ」の戦法(ヘボがそう感じているだけですが)ですので、この目障りな金を囮にして手を作っていく方針です。果たして期待通り中央から玉頭にかけて駒の交換がありましたが、居飛車も逆に角を切って穴熊玉頭に▲8三金と打ち込みました。戦火が上がっても思うように逃げ出せない弱点を衝かれた格好です。

ここからの振り穴の受けが上手かった。まず▽9四角と金に当てて後退させ、空いた空間に金銀を埋めることに成功、王手が掛かる憂いを無くしました。穴熊の勝ち方はほぼ決まっていて、王手が掛からない瞬間(Z=ぜっとと言う)に寄せ切ることが肝要です。本譜も穴から出てしまったものの玉は安全、自分の方から▽8五桂を打つ形になって大勢は決しました。短時間の棋戦は特にそうですが、攻めよりも守りの手で間違える人の方が多い。そういう意味でも大山名人は異次元の棋士であったと言えるでしょう。
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その2   投稿者: 大山命   投稿日: 2024/06/06(木) 09:52

引き続き神吉七段の振り穴を観ていきましょう。今日は1997年(ヘボがやっと就職した年)の順位戦、相手は達(たち)七段(現)です。

故達正光七段は私と同い年でした。出身地も近く、私が住んでいる場所の近くにお住まいだったこともあると30年前の将棋世界に書かれていました。居飛車党で高柳門下です。高柳敏夫九段は名伯楽の誉れ高いです。十六世名人や田中寅彦九段、現役では島九段が師事しているのでその通りかも知れません。ただ師匠が良ければ弟子も優秀という法則は将棋界においては余り当てになりません。特に「師匠が弟子と将棋を指す」ことは破門を意味するほどです。最近はそうでもないのかもしれませんし、花村一門のような例外もありますが、何より私は高柳九段の哲学が好きでない。「振り飛車は将棋に非ず」で「弟子に居飛車以外認めなかった」と清水女流七段は語っていました。はっきり言って、師匠と弟子の棋力に相関はありません。(>_<)

さて、今回の将棋も順位戦です。「序盤は(他の対局に比べ)堅実に」と考えるのが普通と、ヘボなどは思うのですが、本局は序盤早々波瀾が起きます。ヘボも対居飛穴戦でウッカリして8(2)筋の飛先交換を許してしまったことがありますが、本譜も同じ現象が生じました。これが神吉七段のウッカリだったのか、それともはめられたフリをしてはめようという深謀遠慮だったのか。とにかく先手の居飛車が飛2枚、後手の振り穴が角2枚持ち合う局面が出現しました。

よく「序盤は飛よりも角」という格言がありますが、アマ同士だと初段前後では飛を2枚持った方が勝ち易くありませんか?ヘボも弱いのでどちらかというと飛2枚持った方が安心?です。しかし本譜はプロ同士です。振り穴の放った▽5四角が局面を支配し、振り飛車がポイントを取りました。ここから2枚角を駆使した攻めがなかなかうるさく、敵角の動きに居飛車は翻弄されることになりました。仕方なく角筋を避けて端美濃(串カツ囲いの一歩手前)にしますが、金銀が上ずってしまいました。対して振り穴は▽9二香と上がった形で美濃に締まり、大駒が打ち込まれる隙も無く満足な分かれです。

終盤は振り穴の見切りと素早い攻めが圧巻でした。十二分に働いた2枚角を敵に差し出す代わりに左桂の(天使?の)跳躍。駒の裏を取る捌きで、確実な小駒の攻め。あっという間に居飛車を投了に追い込みました。神吉七段の臨機応変さ(変な表現ですが)に唸った将棋でした(まさか研究の範囲ではないでしょうね)。m(_ _)m
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特集「振り穴」その1   投稿者: 大山命   投稿日: 2024/06/05(水) 09:33

準備に時間が掛かってしまいましたが、振り穴の棋譜を並べていきます。トップバッターに誰を採用しようかと考えましたが、この方はどうですかね。神吉宏充。今は時折大橋七段の派手スーツが話題になりますが、この方はピンクですからね。それでコテコテの芸人で「棋界きってのエンターテイナー」などという話が、当時のヘボの頭の片隅に記憶があります。でも肝腎の将棋は知らなかったんです。ただ、瀬川六段(現)の編入試験の時に試験官を務められて「振り穴」を採用したことは覚えています。そこで、30局ほど、七段の将棋をサンプリングして並べてみました。その成果を披露(疲労?)します。

神吉七段は持ち時間の短い将棋に無類の強さを発揮していました。NHK杯戦や銀河戦の棋譜がザクザク出てきました。これらはアマにも(と言うかヘボにとって)分かりやすい勝ち方でしたので、観る方も面白いのではないでしょうか。

一発目は神吉vs中田章道戦(1993年順位戦)です。
今はコーヤン功だけですが、当時は故中田宏樹九段(現)とともに中田姓の棋士は3人でした。「佐藤」は今でも多いですね。おっと、また道草が美味しいので食ってしまいました。章道七段(現)は詰め将棋作家として著名(将棋世界にも作品を連載していました)で、師匠は板谷四郎九段、弟子に実力者の呼び声高い忍者はっとり君(服部六段)がいます。

先手神吉が得意の振り穴模様、後手中田は位取り模様でしたが、5筋の備えなく突いた▲4六歩が物議を醸し出しました。すかさず▽1三角と覗かれ、▲4八飛に▽4五歩です。振り穴は▲6五歩から反発しますが、▽5七角成は甘受。棋力が同等の素人同士なら馬の厚い居飛車が勝てそうですが、振り穴は金銀2枚で馬を敵陣に追いやることに成功します。ここから4筋を中心に派手な駒の取り合いがあり、どうにかペラペラの2枚穴熊を耐えて、振り穴が寄せ切ったという将棋でした。順位戦ですから考える時間は6時間あります。動きの多い間違えやすい将棋を制した神吉七段、プロですね。(^_^)
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最近の西やんは   投稿者: 大山命   投稿日: 2024/06/02(日) 15:20

それでも指し方の幅を拡げているように見えます。殆ど採用しなかった穴熊をタイトル戦で投入したり、受け切って勝ったり(いや、元々受けは強いのですが)。まあ角換わりを指しても純粋居飛車党(最近結婚された女流棋士です)に勝ってるので、強い人は何を指しても勝つのですが。^^;と思っていたら、ついこの間の清麗戦は桃ちゃんに敗れましたね。相性だけは棋理で説明不能ですね。(>_<)
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レスレス♪   投稿者: tsuka000jp   投稿日: 2024/06/01(土) 07:26

>将棋のつくりが攻めに重きが置かれています。「剛腕」と称される所以でしょう。
参考にしやすい内容で活躍してほしいですね。
普通に棋士に勝っているので早く試験資格取得してほしいですね。
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ドキドキ♡   投稿者: 大山命   投稿日: 2024/05/25(土) 16:31

棋聖戦の一次予選2局を観ていきましょう。西やんの活躍が光ります。(^_^)

現行制度で一次予選を抜けるには1日で2勝が必須で、持ち時間は1時間。振り飛車党に有利です。ヘボと比べるのは何ですが、一般に振り飛車党員は理屈よりも感覚を大事にし「勢い」もしくは「流れ」で指しているところがあって、好不調の波が激しい人が多いです。西やんがどうかというと、女流棋士には殆ど負けないのでハッキリしませんが、将棋のつくりが攻めに重きが置かれています。「剛腕」と称される所以でしょう。

さて、1局目は居飛車党の石田六段です。北海道は名寄出身です。冬は寒いですよ。奨励会に参加するだけでも大変です。幸せ太りが悩みの種とか。

後手西山のダイレクト向飛車で始まり、先手石田は手厚く銀冠に構えました。中央から小競り合いがあり、居飛車は2筋を突破しました。更に背後から竜を回して攻めを続けましたが金を3枚横に並べた振り飛車の受けが手厚く、端攻めも上手く凌いで勝利しました。

2局目は居飛車党大ベテランの高橋道雄九段です。タイトル5期、A級13期を誇り、対抗形の強さには定評があります。所謂「花の55年組」で同期に島朗、南芳一、塚田泰明、中村修らがタイトルホルダーとなっています。

少々の駆け引きの後に、先手西山の三間に対し、何と高橋九段は5筋位取りを採用しました。西やんも実戦経験は殆ど無いのではないでしょうか。意表の作戦が功を奏して、西やんの小ミスから居飛車の優勢となりました。ここから延々と捻り合いが続きましたが、一瞬居飛車側に馬切りから▽3五桂打と決めに行くチャンスがあったようです。しかしこれを逃してから振り飛車が持ち堪え、ついには逆転しました。ただ居飛車の追い込みも強烈で一歩間違えればアウトという場面もありましたが、最終的には寄せが決まり西やんが勝利を収めました。

さあ、この二次予選抜けと併せて試験資格取得を期待しましょう!(^_^)
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速報!   投稿者: 大山命   投稿日: 2024/05/22(水) 08:36

竜王戦3組決勝で私の心の師匠(苦笑)、久保九段が伊藤匠七段を下し、トーナメント出場を決めました。

慌てて棋譜を観ましたが、一言で表現すれば「居飛穴潰し」。伊藤七段が穴熊に拘ったことが敗因と言えましょう。それくらい振り飛車の繰り出したパンチは確実に急所に刺さり、最後は「金なし将棋に受けなし」となりました。今は「君ばかりに勝たせる訳にはいかない」(升田幸三が山田道美に発したとされる台詞)と言えるような雰囲気ではないようですが、将棋が立派に代弁した快勝譜でした。本戦の健闘を祈ります。(^_^)
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向いている人、向かない人   投稿者: 大山命   投稿日: 2024/05/18(土) 10:39

広瀬章人、大内延介、福崎文吾、森安秀光、西村一義、瀬戸博晴他、振り穴の勝局を集めて並べているところです。まだ「一通り」までも行っていませんが、色々なことが分かってきました。その一つが表題です。

振り穴の変遷も興味深い。既にスペシャリストと言われてきた棋士の皆さんが論じていることですが、大内九段が「穴熊囲い」を「穴熊戦法」に昇華させたことで振り飛車穴熊が棋界で認知されるようになりました。しかしながら現役棋士の将棋を観ても明らかですが、プロにおいても「振り穴に向いている人、向かない人」がいる。現時点では、ヘボはその理由を「攻めと受け、どちらが好きか」に求めています。

ヘボの心の師匠(将棋は殆ど真似できない)大山康晴は生涯2,000局を超える将棋において、振り穴を数えるほどしか用いていません。また最も将棋が似ていると称されていた森安秀光。当然調べたのですが、僭越ではありますが「(振り穴が)上手くない」。森安流とは相性が良くないように感じています。

一方、大内、福崎、広瀬の3巨頭は(まあ勝局ばかり集めていることもありますが)格好が良い。「美しい」と表現しても罰は当たらないでしょう。誤解の無いように申し添えますが、お三方は強烈な攻めの裏で強靱な受けの力も備えているということ。それを差し引いても「相手を攻め潰す」の気概を持つ人が「向いている人」なのかなあ、と考える次第。凡庸な結論ですが。(>_<)
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その西やんは   投稿者: 大山命   投稿日: 2024/05/13(月) 20:28

マイナビ女王を防衛しました。その西山vs大島戦(第3局)を見ていきましょう。

西やんは攻める振り飛車党員の代表で、積極的な指し回しに定評があります。男性棋士も何人もが剛腕の餌食となっています。一方の挑戦者大島さんは最近頭角を現してきた居飛車党ファン期待の星。男性棋界はハ冠が君臨していて安泰なので(不利飛車党員としては悔しい限りですが)、女流のツートップが振り飛車党員であることは気に食わないのでしょう。欲張りですね。(^^;

さて、注目の序盤ですが、西やんは三間飛車でした。注目され始めの時期は中飛車の採用が殆どでしたが、最近は三間飛車が多いようです。しかし本譜はギリギリまで囲いの態度を保留し、居飛車が銀冠に構えたと見るや、彼女としては珍しい穴熊に潜りました。嬉しいです。(^_^) 居飛車は更に、こちらも穴熊に組み替えますが、どうも指し手がぎこちない。(>_<) 右金が囲いから離れたままで決戦となりました。この後は西やん得意の殴り込みで、胸をすく捌きから一気に敵玉に殺到、受け無しに追い込みました。大島さんが一所懸命に研究してきた流れとは思えず、不慣れな戦型をついフラフラと選んでしまったように感じました。

振り穴は西やんに合っている戦法だと思いますので、是非今後多用することを願っています。ヘボも棋譜を並べてコツを吸収したいです。
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端飛車流行?   投稿者: 大山命   投稿日: 2024/05/13(月) 13:29

女流順位戦、加藤圭vs福間戦を観ていきましょう。

香奈ちゃんは白玲挑戦の一番手で、福間姓に変わっても好調(いや順調か)を維持しています。対する加藤さんは桃ちゃんとは異なり基本居飛車党ですが振り飛車も指します。特徴として出来不出来の差が激しい将棋です。奇襲に対して上手く対応できるか否か微妙なところ。

先手加藤は居飛車を選択、後手福間の中飛車を想定していたと思います。後手は9筋を突き越し、康光流ダイレクト向飛車を匂わせますが、8手目▽3二金が怪しい動き。そして12手目の▽9四飛で作戦が明らかになりました。ヘボの呼ぶところの端飛車です。既に一間飛車という正式名称?がありますが、なぜ三間飛車、四間飛車という呼称なのに端飛車だけ一間飛車なのでしょうか?三間&四間は元々「振り飛車は後手の戦法」という訳の分からない迷信?の名残なので、それに倣えば「九間飛車」とするべきでしょう。理屈っぽくて申し訳ないですが、升田式一間飛車とは異なります。

将棋は振り飛車側が捻り飛車風味に升田式石田流の味を足し込んだのが工夫でした。細かい動きでポイントを稼ぎ、居飛車は折角繰り出した銀が押し返される手損がヒドかった。頭の血が上ったのか、33手目の▲5六角が致命的で、後の▽8七飛成を許してしまいます。以降も振り飛車に良いように自陣を蹂躙され、中段で大将が討ち取られてしまいました。端飛車の快勝譜です。皆が忘れた頃に使うのが良いと思います。多用すると対策を練られますからね。(>_<)

それにしても香奈ちゃんの研究量と貪欲さには目を見張りました。菅井君の阪田流三間飛車?も実戦で用いていますし、今回の端飛車も西田五段の成功が下敷きになっていると思われますが、キチンと自分の血肉にし、改良を示している。当分、女王は安泰と予想しますが、西やんの逆襲も楽しみです。 (^_^)
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