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テーマ: 脳内将棋盤はありますか?

日付: 2002/10/19 09:01
作成者: pikatyuu-oresama
タイトル: 将棋を勉強する前に

将棋の勉強をする前に・・・・
脳内将棋盤はありますか?

「どうやったら強くなれますか?」
将棋の強い人に質問すると大体次のような答えが返ってきます。

・得意戦法をもつ
・定跡や手筋を覚え、実戦で試す。
・簡単な詰め将棋をたくさん解く
・プロの棋譜を並べる
・強い人の将棋を予想しながら観戦する

 あるいは良い棋書を紹介してくれる人もいるでしょう。24で出会った人の中には、僕を師匠だとか獲物だとか言い出す人が居ます。大体が初級〜中級者なのですが、そのような弟子だとかハンターたちに対局・感想戦の後(ときには対局中)に上記のような質問をされる事があります。そのたびに上に挙げたようなありきたりなアドバイスをしたり、知っている定跡を教えたり、挙句の果てに「よっしゃ!奇襲でハメろヾ(〃^∇^)ノ」などとムチャクチャな事を教えたりしていました。しかし、上記の事を漠然と実行してもなかなか強くなれないようです。僕は縁台将棋レベルから24で将棋を始め、良い師匠に出会えたこともあり、将棋にのめり込んで2年ちょっとで四段まで昇段しました。自分で言うのもうさんくさいのですが、これは割と早い方だと思います。思い返せば、初級〜中級までは壁にぶつかりながらもゆっくり上達していたのが、ある時期突然上達の速度が速くなり、一気に中級〜上級を突破したと記憶しています。そこで、その辺りの上達の過程で何が変わったのか自分自身の記憶を辿ってみると、そういえば脳内将棋盤が形成されたのが7〜5級辺りの時期だった事を思い出しました。そこで、脳内将棋盤が初・中級者の上達のきっかけになるかもしれないと思ったので、その辺の事を簡単にまとめてみました。長文ですが、興味を持たれた方はちょっと読んでみてください。将棋の勉強の前提となる領域だと思います。

脳内将棋盤とは何か
 読んで字の如く、頭の中にイメージする将棋盤で、これを使って定跡書の手順を動かしたり、詰め将棋を解いたり、目隠し将棋ができます。しかし、僕自身もそうだったのですが、この脳内将棋盤が9×9の81マスになっておらず、漠然と無限に広がるマス目になっていたり、64マスしかなかったり、駒の位置がボヤけていたり、金と銀が重なって区別できなかったり、あるいは、自分が読みを入れている25マス分しかイメージできなかったりする人もいるのではないでしょうか?局面を正確に読むにはそれではいけません。81マスの将棋盤と全ての駒が過不足なくイメージできなくてはなりません。

脳内将棋盤の効果
僕の場合、脳内将棋盤の発生の前後で以下のような変化がありました。
・相手の攻めがよく見えるようなり、受けが強くなった
・知識を離れた力戦形に強くなった。
・より難易度の高い詰め将棋や11〜15手の長手数詰め将棋が解けるようになった。
・実際の盤・駒を使わずに定跡書を理解できるようになった。

☆要するに「読める」ようになるわけです。☆

脳内に将棋盤のスイッチが入るかどうか
 僕の場合、脳内将棋盤が鮮明に動き出したのは、将棋漬けの毎日を送っていたある日の早朝の事です。半分寝ていて夢の中に居るが、それが夢であると意識できていて、なおかつ窓から朝日が差し込んでいるのも意識できている状態の時です。突然、相掛かり飛尻出棒銀(今でも多用している得意戦法)の手順が脳内で鮮明に動き出しました。
 さて、前置きが長くなりましたが、どうすれば将棋盤が脳内に発生するのか考えてみました。やや脱線しますが、中学受験をする小学生が算数で勉強しなければならない分野の一つに「立体図形の切り口問題」というものがあります。平行六面体や直方体などの立体図形をある3点を含む平面でぶった切った図形の面積などを求める問題ですが、こういった立体を正確にイメージできるかどうかは立体イメージに関する脳のスイッチが入るかどうかがポイントで、スイッチの入り易さには個人差があり、すぐにスイッチが入る人が多いのですが、中にはなかなか入らない人がいます。一昔前は、スイッチが入るかどうかは才能であり、人によっては一生スイッチが入らないと言われていたそうですが、現在では優れたトレーニング法が開発され、誰でもスイッチを入れることができるようになっています。というわけで、実戦や詰め将棋を繰り返すうちにいつか脳内将棋盤のスイッチが入ると思うのですが、手っ取り早く習得するために、立体イメージのスイッチを入れるためのトレーニングを将棋に応用してみます。

トレーニング法
方法はいたって簡単で、次の3段階です。
1.残像トレーニング
実際の盤でも、ネット対局の盤面でもよいから用意し駒を初期配置にして目の前に置きます。目をつぶります。一瞬目を開けて盤上全体を確認してすぐ目をつぶります。初期配置が鮮明にイメージできるまで何回か繰り返します。目をつぶっても将棋盤がが残像イメージとなって刻み込まれるはずです。これは一瞬しか見えないものを瞬間にイメージとして刻み込む能力のスイッチを入れるトレーニングであり、短期の記憶力を鍛える方法として非常に有名です。

2.駒を動かす
上記の方法で将棋盤81マスと駒が正確にイメージできるようになったら7六歩、3四歩、2二角成り、同銀ぐらいの手順を何回かイメージしてみます。とった角はちゃんと駒台に置く事も忘れずに。徐々に早くしていくのがポイント。

3.フィードバック
30〜40手くらいの定跡を実際の盤と駒をつかって並べて覚えます。実際の盤と駒を使って本を見ないで並べられるようにして下さい。次に覚えた手順を脳内将棋盤で再生します。途中で混乱したら最初にもどってやり直し。何回か繰り返し、スピードの限界に挑戦するつもりで再生速度を速くしていってください。これは脳内将棋盤のトレーニングも兼ねた定跡手順のフィードバックであり、手順を暗記する方法としてとても有効です。

 さて、脳内将棋盤は設置できたでしょうか?あとは詰め将棋や実戦の読みの中で脳内将棋盤を使ってみてください。使えば使うほど速くたくさん読めるようになるはずです。僕は3〜1級くらいで目隠し将棋がなんとか指せるようになったと(持ち駒の歩の枚数はあやしいが)記憶しています。

六段の脳内将棋盤はとてつもない
24の六段(2600台)の人に直接聞いた話ですが、若い頃は目隠し将棋で7面指しはいけたとの事。ほんまかいな( ̄▽ ̄;)なんだかハッタリのような気もしますが、以前TVであるプロ棋士が駒落ちの目隠し2面指しで対局していたのは見たことがあります。極めればその域まで達するのかもしれません。人間の脳ってすごいですね( ̄▽ ̄;)




       written by pikatyuu-oresama (+-S-ing-+)


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