中飛車研究所(将棋)掲示板
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神吉七段の第3弾にもなりますが、得意の短時間棋戦、NHK杯本戦を観ていきましょう。1995年、対中田宏樹戦です。 故中田宏樹九段は王位戦にも登場し、当時の谷川王位を苦しめました。居飛車党本格派で、A級に上がれなかったことが信じられません。残念なことに昨年2月に急逝されました。通算770勝でした。 そのような背景で、棋士としての中田九段の脂の乗りきった時期の対局です。 序盤は先手中田が左美濃を経て銀冠にガッチリ組み、対する後手神吉は例によって一目散に穴熊に潜りました。銀冠は無風状態で組み合うと懐深く、居飛穴以上に手も足も出なくなります。これを避けるために3~5筋(後手番であれば5~7筋)に争点を作っておく必要があります。それが位であればベストです。本譜は意図的に6筋の歩を交換させ、▽4四銀型を目指しました。(振り穴から見て)まずまずの形になりました。 序盤の終わりに振り穴が▽6五金と立ったのが工夫の一手。穴熊は「相手にして貰ってなんぼ」の戦法(ヘボがそう感じているだけですが)ですので、この目障りな金を囮にして手を作っていく方針です。果たして期待通り中央から玉頭にかけて駒の交換がありましたが、居飛車も逆に角を切って穴熊玉頭に▲8三金と打ち込みました。戦火が上がっても思うように逃げ出せない弱点を衝かれた格好です。 ここからの振り穴の受けが上手かった。まず▽9四角と金に当てて後退させ、空いた空間に金銀を埋めることに成功、王手が掛かる憂いを無くしました。穴熊の勝ち方はほぼ決まっていて、王手が掛からない瞬間(Z=ぜっとと言う)に寄せ切ることが肝要です。本譜も穴から出てしまったものの玉は安全、自分の方から▽8五桂を打つ形になって大勢は決しました。短時間の棋戦は特にそうですが、攻めよりも守りの手で間違える人の方が多い。そういう意味でも大山名人は異次元の棋士であったと言えるでしょう。
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