中飛車研究所(将棋)掲示板
Back
記事編集
投稿者
メール
題名
内容
ヘボはハンドルネームの通り、大山康晴十五世名人のファンです。全盛期の強さは現在の坊やも凌ぐほどで、と書くと坊やや居飛車党員に怒られそうですが。坊やの強さは派手ですが、大山名人の強さは分かりにくい。勝負は仕掛けの時点で付いている将棋が少なくないのです。「なぜ受けるのか?」の問いに「みんな無理攻めするからだよ」と答えたそうです。しかしヘボをはじめ将棋が弱い人は攻められるとあたふたしてしまい、受け間違い、潰されてしまう。名人の強さはダメージを受けるパンチとそうでないパンチの見極めが正確であったということでしょう。もう一つ特筆すべきは作戦負けが殆どなかったこと。これが表題につながります。 棋王戦の菅井vs山崎戦を取材しました。 菅井君は積極的に手を作りに行く棋風で、性格や将棋が升田幸三に近いのではないかとヘボは感じています。でも本譜は我慢して駒組勝ちを目指し、理想を実現した将棋であると思います。 序盤、山崎八段は飛先不突きで袖飛車を志向、さっそく注文を付けてきます。山崎将棋の怖さは「筋悪だなあ」と油断するとペースに引き込まれ出られなくなることにあります。菅井君も対戦成績がほぼ五分で例外ではありません。そこをグッと堪えて、まず美濃→銀冠に囲い、▲6七金と反対側に上がるなど仕掛けを慎重に防いでから得意の穴熊に潜りました。相穴熊に組み終わると居飛車陣の右金が取り残されており、対する振り飛車陣は4枚穴熊+角です。同等の棋力の持ち主同士であれば「勝負あり」です。 戦いが始まりますが、一瞬桂損になり、馬とと金を作られますが、飛角を存分に捌き、急所の敵玉頭に先に味を付けました。この辺り次の一手に出てきそうな味わい深い▲5五角等、流れるような寄せであっという間に居飛車を投了に追い込みました。仕掛けまでは時間が掛かりましたが、そこに至るまでの「仕込み」が完璧だったということでしょう。 大山名人はあまり穴熊には潜らず、今の表現で言うミレニアム止まりでしたが、(繰り返しになりますが)本譜のような駒組勝ちで、仕掛け前に相手を倒している将棋が多かったです(だから急戦で応戦した居飛車党棋士が多かったのでしょう)。本譜を観て、改めて振り飛車将棋の素晴らしさを堪能できました。(^_^) 菅井君にはタイトル奪取を目指して頑張って頂きたい。応援しています。 参考棋譜:菅井vs郷田戦(2019順位戦)
URL
更新キー