中飛車研究所(将棋)掲示板
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少しいつもと違うことを書いてみましょう。 私(大山命)は元々思い込みが激しい性格ですが、例えば「サブカルチャー」の意味を間違って覚えていたりということが最近増えています。まだ将棋も強くなりたいので、頭は常に柔軟にと思いますが、加齢との勝負ですね(苦笑)。 さて、お題は将棋漫画についてです。私は聡太が全冠制覇後の棋界およびその周辺を危惧しています。聡太ファン以外は将棋を純粋?に楽しめなくなるのでは、と。で今回ネタにする「月下の棋士」の「リアル氷室将介」に聡太君がなるのではないかという心配です。 月下の棋士は能條純一氏の手による将棋漫画で、今から丁度三十年前に連載が始まりました。「哭きの竜」で有名な漫画家という予備知識があって、それまでつのだじろう氏や将棋世界に連載されていた、井川ヒフミ氏の作品(と金横丁)に慣れきっていた身として、どのような内容になるのだろうと少し期待があって第1話からリアルタイムで読んでいきました。「河口俊彦監修」に信頼がありましたね。 主人公は氷室京介改め(笑)将介。まあ登場当時からガラの悪い少年で、帽子かぶって片膝ついて指していたりする。それどころか1週間服を着替えず、周囲から異臭を指摘される始末。将棋漫画の主役ですから将棋だけは聡太レベルで強くて負けないんですけど、これで作品の進行に不安を覚えました。 不幸にも不安は的中しました。数々の対戦相手が氷室以上に人間離れ(ギャグのレベル)していて「しょうもない」というか。あと作品の特徴の一つですが、登場人物の氏名が将棋(谷川→滝川や木村→村木)や野球の有名人(桑田真澄→幸田真澄や古葉竹識→古葉健とか)から拝借したものが殆どでいかにも薄っぺらい。何よりイラっときたのは「駒を運ぶ所作の描写が間違っている」ことでした。プロは駒を取る時、自分の駒を取る駒に近付けることはしませんね。それは初心者のやる所作です。つまり、能條氏はプロの対局を観ていないことになります。「将棋への愛が足りないな、河口八段が付いていながら」とガッカリしましたよ。 棋士の絵も下手でした。升田幸三をモデルにした棋士が出てきますが、これが五味康祐(作家)にそっくり。確かに升田は似顔絵を描くのが難しい人だと思います(比較的易しいのは大山康晴)。それを考慮しても升田の太鼓持ち(升田本人が乞うている訳では勿論ない)に似せてはダメでしょう。また一歩間違えれば十七世名人の名誉棄損になりそうな描写もあって、表現者としてどうなのかな、と思いました。 連載は8年続きましたが、盤上に血を吐いて笑っているような気持ちの悪い人(そう言えば人間模様をテーマにした漫画のはずなのに、人間が殆ど出てこなかったような)が多くて読むのを止めました。最終回は全然成長していない主人公が出てきて「やっぱり」と感じて終了。 結局、将棋文化の正しい普及には繋がらなかった気がします。氷室君の生意気で失礼、だらしない対局態度だけが伝わり、各道場が、特に低年齢層への対応に苦労したと聞いています。(>_<) 結論。能條氏は麻雀だけを描いていれば良かったのかな? 機会があれば次は「三月のライオン」を取り上げてみましょう。
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